落ちた枝豆
枝豆を食べていたら 一粒が飛び出して食卓の下に落ちた。
何秒かタイムラグがあり 椅子に座ったままで頭を下にしてキョロキョロ探した。
見つからない。
そんなに遠くに行ったわけではない。
今度は違う方向から もう一度、座ったままで 頭を下にして探してみる。
眼を皿のようにしてキョロキョロする。
ない。
落ちた一粒を諦めきれない。
だが、椅子から降りて這いつくばるまでは
しなくてもいいかと 探すことに意味不明な
線引きをし 探すのをやめて食事を続けた。
その4時間後のことである。
すっかり一粒の枝豆のことを忘れた頃
私は足の裏で何かを感じたので 見ると
一粒の枝豆だった。
探し物って躍起になったからと言って必ずしも見つかるとは限らないのだ。
探そうとせずとも 自然な形で見つかってしまうことがあるのだ。
最も普通なシチュエーションで。
最善を尽くしたとしても結果に繋がるとは限らず、足の裏で感じた違和感が 今回は役に立ったのである。
結果への最短距離をいくことが一番だと思いがちな世の中。
だけではないような気がする。