ある朝のできごと~三男編~
昨夜、三男(二十歳)と何気なく話していたらぶちキラレた。
何かが飛んできた。
食卓を蹴り上に置いてある物がこぼれた。
私はそのあとお風呂に入りながら彼の怒りの裏側にある感情をぼんやり想像してみた。
何だかんだ言っても
あれは愛だったのではないかな。
その後三男とは何も話さずにいた。
翌朝、ガサゴソとした物音が聞こえて目覚める。隣の部屋から何か物音が聞こえてくる。
掃除機の音もする。私は時間を確認する。
7時。
今日はまだ時間はあるしYou toubeでピアノを聴いてウトウトしているとノックの音がし ハイと返事をする。
「コシってさぁ、段ボールの横に置いていいの」と三男が聞いてきた。
(こし?コシ?あー、古紙か)
「そうだよ」
部屋のドアが閉まる。
しばらくすると玄関のドアが開く音が聞こえ出ていく音が聞こえてくる。そして戻ってきたり出ていったりする音が聞こえてくる。
三男は部屋の整理と掃除をしているようである。
春から新しい道に進むことになった三男。
部屋の整理をするよと言っていたがなかなか始めずだった。
入学式の
延期通知が届き、その通知を見せる見せない問題でもめた昨夜。
使わない教科書やら山積みの洋服、整理し処分し始めたようである。
私はもう少し音楽を聴いていることにした。
そのあと、何気なくキッチンに行くとパスタを茹でている三男がいた。
「どうにか終わったよ」
突然話しかけられる。
「段ボール五個、ゴミ袋2個。本とか教科書をまとめたもの5個。一気にやったよ」
「スゴいねー。洋服も?」
「さすがに洋服までは無理。いらない洋服って普通に捨てられないでしょ。どうするの?」
古着の処分方法を話したりした。
達成感からかカルボナーラを食べる彼は嬉しそうだった。
そう言えば以前、整理したときはまとめたゴミが長い間、玄関に置いてあったことを思い出した。今回は大量のゴミをどんどんごみ置き場に運んだらしく跡形もない。
物を整理することは気持ちの整理をすることにつながると聞いたことがある。
親は子どもの歩む道のほんのきっかけにでもなったら、それでいいと私は思う。